現場の「変化」から見つける、これからの庭と暮らし
〜 共創パートナー座談会 2026 〜
今年も2026年6月に、LIXILの共創パートナーを代表する方々にお集まりいただき、座談会を催しました。今回は環境や社会の「変化」をテーマとして、環境問題にさまざまなかたちでアプローチされている上田壮一様にも加わっていただき、お話を伺いました。今、エクステリアの現場で何が起きているのか。これからの庭と暮らしのあり方は──。ぜひ皆さまの住まいづくりにお役立てください。
- 参加者
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- 株式会社ハウジングセンターミウラ 代表取締役
- 可児 一也 様
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- 株式会社グランドワークス オールグリーン 代表取締役
- 平松 利之 様
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- シャイニーガーデン 株式会社二光 代表取締役
- 枇杷 光二 様
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- 有限会社達匠 代表取締役
- 江崎 達也 様
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- 一般社団法人Think the Earth 理事/プロデューサー
- 上田 壮一 様
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- LIXIL 常務役員 エクステリア事業部 事業部長
- 大沼 剛

現場では夏の暑さが厳しさを増し、
逆に冬は寒さが和らぎ作業しやすく
オールグリーン 夏の現場の暑さは以前からなのですが、意外と冬の寒さが和らいだことで、冬場の業務効率が向上していますね。
達匠 雪もあまり降らなくなりました。現場としてはありがたい状況です。
オールグリーン 雪に降られると、雪かきをするか、溶けるのを待つしかありません。そうなると、工事が数日できなくなってしまいますからね。
ミウラ セメントを扱うことが多いので、以前は冬場になると、練って置いておくだけで寒さで凍ってしまうことが結構あり、仕上げたところが全部やり換えになってしまうことが頻繁にありました。でも、今はほとんど凍ることはないです。それだけ暖かくなったということですね。
二光 福岡でも以前は冬場に雪の積もる日があり、作業のできないことが多かったのですが、最近は、ほぼ冬も普通に働ける環境に変わってきているなと感じます。
ミウラ 逆に夏の暑さは厳しくなっていて、ファン付き作業服はもう着て当たり前のものになっていますね。
達匠 ファン付き作業服用のバッテリーを2、3個持って現場に行き、切れると途中で交換して、現場から帰ってきてから充電しなくてはいけないからたいへんです。
オールグリーン 当社もファン付き作業服は絶対に着用するようにしていて、持っていない人には一緒に買いに行って徹底しています。あとは、クーラーボックスに冷たいドリンクを入れて現場に持ち込むのは、もう皆さんやっていますね。
達匠 当社では3年ほど前から、10時・12時・15時の1日3回、現場のリーダーが全員分の飲み物やアイスを経費で購入して、その場で飲食してもらうルールにしています。個人任せにするとどうしても徹底できなくて危険ですから、会社として全員に配布するかたちをとっています。これだけ暑いと、「ここまでなんとかやってこい」なんてことは絶対に言えないですから。
ミウラ 休憩時間も増えるし、暑さで作業効率も落ちるので、どうしても工期は長くなってしまいます。
達匠 そうですね、がんばれないですよ。
ミウラ ちょっと作業時間をずらしてスタートを朝早くからにするとか。そういった方策も考えないといけないかなとは思いますね。ただ朝早くからやっていると、まわりのご近所の方からお客様が怒られてしまうかも……。お客様に気をつかわせてしまうことになってしまいます。
達匠 遅いのも「いつまでやってんだ」 と怒られてしまいますしね。
オールグリーン いちばん暑い12〜15時を休憩にしたとしても、その分、作業が後ろにスライドしてしまい、職人さんたちの帰宅が遅くなって負担をかけてしまいますし。なかなか難しいですね。
環境に対する意識の変化は「住」にも
上田 衣食住は、人間にとってとても大事なものですが、環境意識の面で大きな変化が起きています。「衣」では、ポリエステルが大量に余って燃やされ温暖化の原因になっているなど、さまざまな問題から人々の意識が大きく変わってきたなと思います。「食」も、地産地消という言葉が普及して、フードロスなど身近な問題もあって意識の変化が起きています。そして「住」に関しても、皆さんのお話をうかがっていて、同じ流れがきているんだなと感じます。気候変動がこの先どうなっていくのか、皆さんも読めないところがあると思うのですが、大きなトレンドとしては、おそらくもっと厳しくなっていくと想定される中で、皆さんの仕事のやり方も、お客様の考え方もさらに変化していくと思います。
お客様にも大きな変化が次々と
二光 最近は、AIを利用されるお客様が多いですね。お客様ご自身で、AIを使って庭のイメージを作ってこちらに送っていただくことがあります。
オールグリーン 確かに多いですね。
二光 こうしたお客様の変化への対応は、私たちの今後の大きな課題です。ただ、今は仕事がやりやすくなった面と、少しやりにくさを感じる面の両方があります。当社は、お客様とのコミュニケーションを大事にしてきたのですが、今のお客様の中にはそうしたことがある意味、面倒に感じる方もいらっしゃるようです。お客様のほうでイメージが先行しているケースもあって、もちろんそのイメージがよければ問題ないのですが、どうしても間違った情報や考えが入り込んでしまっていることもあります。そこはきちんとプロとしての意見を反映しながら落とし込んでいかないといけないなと思います。

ミウラ お客様ご自身でまだ外構ができていない状態の写真を撮って、そこにお好みの外構の写真をはめ込んでしまえば、ある程度のイメージはできますからね。結構、打ち合わせはスムーズかもしれませんが、その通りにはなかなかいかないものです。画像を作らないにしても、事前にかなり調べてからいらっしゃるお客様が増えましたね。
上田 外構も含め、住まいづくりはお客様にとっておそらく一生に1回くらいのことなので、きちんと時間をかけて検討したいはずです。AIで時間的に短くできるかもしれないですが、クオリティを上げたいという思いもあるのでしょうか?
オールグリーン お客様もそうでしょうね。間違いなくあると思います。
達匠 多分、昔はプロの人と話さないと擦り合わせできなかったことが、今はある程度、ご自分の中で形をつくってから来ていただくことができているのだと思います。
オールグリーン ただAIでお客様が近道できるのは、現状ではデザインの話までだと思います。お客様が一生に1回のことを大事に考え、一生懸命いろいろな情報を集めることは多分、今も昔もあまり変わってないと思います。私たちは、お客様にお選びいただくために、デザイン以外のところの訴求もこれからは大事になると感じています。
上田 なるほど。面白いですね。お客様は、プロに頼らずに試行錯誤がある程度できるようになり、その上で皆さんはお客様から選ばれる必要がある。ある意味、たいへんなことだと思います。何が得意かみたいなことが、すごく大事になってきますね。その選択もAIが始めたら……

達匠 それはもうあります。例えば「愛知県でホテルライクな外構が得意な〜」とAIに訊くとすぐに3社くらい出てきます。
ミウラ ちょっとショックですね。
達匠 だからホームページは大事ですよね。
ミウラ 最近は、特定商品の指名買いのケースも多いです。例えば、初めて来店されたお客様が「カーポートSCありますか?」といった具合に。フェンスならこれ、カーポートならこれ、という感じで結構ご自分で調べてある程度決めてから来られるんですね。
大沼 メーカーとしてはありがたいことです。他とは何が違うのかをきちんと伝え、ブランド価値を高める努力がますます大事だなと思います。
庭での過ごし方にも変化が
二光 お客様の過ごし方も、やはりおうち時間が増えたのかなと実感しますね。どこかへ遊びに行って楽しまれる方が以前は多かったのですが、最近は庭をきれいにして楽しみたいとか、地元の美味しい食材を庭で調理して食べたいとか、そうしたお客様が増えています。
大沼 私のイメージでは、皆さんがそうしたご提案をお客様に対してしっかりしてくださっているという感覚がすごくあります。「庭ってそういう価値がありますよ」みたいなことを伝えていただいていると思っています。
二光 当社は、あまり売り込みはしないで、庭を活用したら楽しいですよとか、ライフスタイルをどんどんご提案しています。そしてお客様の声を集めて参考にさせてもらい、商談の時などにお話しさせてもらうとプラスアルファになって、庭のある暮らしを楽しむ方が増えていますね。

ミウラ 一方で、いわゆる“庭じまい”のご依頼も増えています。特に昔ながらの立派な灯籠があるような和風の庭は、手入れを庭師さんに頼むしかありません。維持が難しいとなると、もう壊すしかないんです。でも、砂利を敷いたりタイルデッキを設置したりして、メンテナンスをしなくてもきれいに見えるようにしておけば、また次の世代の方がその庭を活用してくれるかもしれないですよね。
オールグリーン そうしたローメンテナンスを好むお客様の増加や、気候変動による温暖化への対策として、当社では枯れなどのトラブルを回避する「植栽のパッケージ化」をご提案しています。特に最近の夏は猛暑ですから、樹形がいいなどの理由で安易に樹種を決めてしまうと、うまく根付かずに枯れてしまうんですよね。それは私たちにとってもマイナスですし、何よりお客様にとっても悲しいことです。そこで、地域の気候に適した樹種をあらかじめ選定してパッケージにしました。枯れにくいだけでなく、枝葉が暴れにくくて手入れがしやすいことも、選ぶ際の大切なポイントになっています。
ミウラ 地域性だけでなく、その土地の日当たり具合なども検討しながら樹種をセレクトしてご提案するようにしていますね。例えば、西日が強く当たると枯れてしまったりする場合もありますので。
オールグリーン 同様に、ローメンテナンスということで人工芝の需要も増えています。ただ、夏の窓ガラスの反射熱で熱くなったり溶けてしまったり、静電気が発生したりと、実は弱点も多いんですよね。そうしたデメリットをお客様にきちんとお伝えしても、最終的には人工芝を選ばれるケースが多いです。確かに天然芝はメンテナンスがたいへんですから、それも仕方がないのかもしれませんが。

「眺める庭」から「使う庭」へ
オールグリーン 長い歴史の中での変遷でもありますが、昔の庭はどちらかというと「見栄」や「贅沢」、つまり客室から眺めて富を象徴する存在だったと思います。でも今は、眺めて楽しむというより、ちゃんと庭に出て「使って楽しむ庭」に変わってきています。庭は、家庭にとって一番身近な娯楽のスペースなんですよね。だからこそ私たちのご提案も、ご家族やご友人と、とにかく外に出る機会をちょっとでも増やしてほしいというものになります。お風呂上がりのビールを一杯飲むだけでもいいですし、お子さんと一緒に食育を体感する場でもいい。そうやって使い方が広がれば、日よけのシェードや地面の舗装が必要になるかもしれません。暮らしの楽しみが広がることで、結果的に私たちのビジネスの幅も広がっていくと感じています。
二光 確かに、リビングの延長線上として庭の使い方を楽しんでほしいですよね。今は「家」と「庭」をセットにしてこそ「家庭」という生活の場が成り立つのではないかという感触があります。
達匠 使い方も人それぞれあっていいと思います。もしお客様が庭でバーベキューとかしたくない、クルマやバイクをいじっていたいのであれば、そんなふうにお使いになればよいのではないかと。庭はライフスタイルそのものでいいと思います。
大沼 最近思うのは、自分の趣味も変わっていくじゃないですか。子どもがいる時は子どものグッズがたくさん置いてあったり、年を重ねてくるとまた違った使い方に。もちろんメーカーとしては、何回もそうした機会があるとありがたいのですが。家の中のリフォームと同じように、「育てていく庭」をご提案しています。お客様の変化に応じて庭自体も育てていっていただきたいのです。私たちもそれに付随したものをご提案していきたいと思います。

上田 建てるときは予算の都合で外構は後まわしになりがちという話がありますが、その家で暮らすようになってから、外側の大事さがわかってくるんですね。ですから先ほどの「育てていく庭」みたいに、地域の皆さんと一緒に庭を育てていくような仕組みや、サブスクで庭の面倒をみてくれるサービスがあったらいいかもしれないですね。庭を自分たちだけではなくて、地域目線で見守ってくれる人がパートナーになってくれたらありがたいと思います。やはり庭があるかないかでは、暮らしが全然違いますよね。
大沼 違いますね。ほんとに植栽1つあるだけでも違うと思います。
上田 庭には、子育てにおける教育的価値もかなりあると思います。庭がある人生を送っているかどうかで、心の豊かさもまったく違ってくるのではないでしょうか。

庭の未来に求められるものは──
達匠 これからも「庭が便利になる」ということは、おそらくお客様は求めていないと思います。「便利なお庭」ってちょっと寂しいですよね。この先も求められるのは、癒やしであるとか、楽しみであるとか、みんなで集まれる空間なのではないかと思います。半分冗談のアイデアですが、プロジェクションマッピングを使って、スイッチ1つで今日はヨーロピアンに、明日はアメリカンな庭に景色が変えられたりして。
オールグリーン 現実的なところでは、虫が来ないシステムがほしいですね。庭に出て楽しみましょうとご提案しているのに、ちょっと蚊が寄ってきたから入ろうで終わってしまうことが多々あります。

ミウラ 天気が崩れてきたら自動でスライドしてガードしてくれる雨除けとか。簡単に濡れない空間を確保してくれるようなものがあるといいですね。
二光 私は、やはりこれだけ環境が変わってきてしまっているので、日除けと断熱商品をさらに拡充して、適用範囲を広げてほしいなと思います。
大沼 いろいろなアイデアやご提案、ありがとうございます。やはり気候変動などの環境や社会の変化に適応していくかたちで、これからも商品の拡充をはかっていきたいと思います。
上田 先日、LIXILの富山にある工場に行かせていただいて、循環型低炭素アルミ「PremiAL プレミアル」(原材料をリサイクルアルミに置き換えることで製造時のCO2を削減)の製造現場を拝見しました。溶鉱炉に原材料が入ってきて、最後に最終商品で出てくるまでの一連の工程がすべて同じ工場内で行われています。25年かけてアルミのリサイクル率100%に到達した話を聞いていると、循環型社会を目指して本気で取り組んでいることを実感して、ぜひこの商品を使いたいという気持ちになりました。この先、未来がどうなるかわからないですが、今、環境やサステナビリティについての教育があたりまえのように行われています。子どもたちがしっかり学んでいます。その子どもたちが大人になって何を選択するか、その選択を今から見つけられるかどうかが重要だと思います。
大沼 ありがとうございます。プロフェッショナルの皆さんから日々お施主様に提案いただく商品が、あたりまえに環境にも配慮されている──そんなものづくりを私たちも心掛けていきたいと思います。

家の外から考える住まいづくりを
〜 共創パートナー座談会 2025 〜